【書評・紹介】『君を愛したひとりの僕へ』 乙野四方字

2022年10月4日小説,NL(HL、異性愛),SF小説,幼馴染,生涯,恋愛小説乙野四方字,アニメ映画,shimano

何度並行世界をシフトしようと、絶対に君を救い出す。それが俺の生きる意味だから。

著者:乙野四方字
装画:shimano

ストーリー
描写
キャラクター
感動度
独自性
電子書籍 有り
他のメディア展開 アニメ映画(2022年公開予定)
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あらすじ

人々が少しだけ違う並行世界間で日常的に揺れ動いていることが実証された世界――

両親の離婚を経て父親と暮らす日高暦(ひだか・こよみ)は、父の勤務する虚質科学研究所で佐藤栞(さとう・しおり)という少女に出会う。

たがいにほのかな恋心を抱くふたりだったが、親同士の再婚話がすべてを一変させた。

もう結ばれないと思い込んだ暦と栞は、兄妹にならない世界に跳ぼうとするが……

彼女がいない世界に意味はなかった。

君を愛したひとりの僕へ | 著訳者,ア行,オ,乙野 四方字 | ハヤカワ・オンライン (hayakawa-online.co.jp)

書評

この作品は『僕が愛したすべての君へ』と表裏一体となっている作品です。
どちらから読むべきかについてはこちら

あらすじの通り、この世界では「虚質科学」という分野の研究が進展し、人間は無自覚に並行世界を移動していることが証明されています。しかし、並行世界と言っても何かが大きく異なるわけでもなく、例えば一つ隣の並行世界とは朝食が米だったかパンだったかくらいの違いしかないそうです。
物理学的に正しいかはともかく、設定としてはとても練られています。この設定、世界観がきちんと練られていることによって、この作品はとても面白くなっています。

そんな世界で主人公日高暦は佐藤栞と出会います。互いにほのかな恋心を抱いていた二人ですが、親同士が再婚すると知り、兄妹になってしまったら自分たちは結ばれないと勘違いしてしまいます。そして研究中であった並行世界の移動を使って兄妹にならない世界へ移動しようとします。しかしその結果、栞は脳死状態になってしまいます。栞を救うため、暦は虚質科学の研究者を目指し、ただひたすらに栞を救う方法を模索し続けるという物語です。

言ってしまえば少年がその生涯をかけて愛する少女を救う物語。しかし、表裏一体の作品である『僕が愛したすべての君へ』があることによって物語はより複雑になります。
詳しくは「『僕が愛したすべての君へ』、『君を愛したひとりの僕へ』はどちらから読むべきか」にて。

以上のようなこともありとても興味深い作品となっています。
是非お読みください。

そして!
映画の公開に合わせ、新作『僕が君の名前を呼ぶから』が発売されました!
内容は長編スピンオフ!
また別の世界を生きた栞の物語が描かれます!

文庫本

電子書籍

関連作品

僕が愛したすべての君へ』 はこちら。

僕が君の名前を呼ぶから』はこちら。

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ二段。