【書評・紹介】『僕が愛したすべての君へ』 乙野四方字

2022年10月4日NL(HL、異性愛),小説,SF小説,生涯,恋愛小説アニメ映画,shimano,乙野四方字

どんな並行世界の君であろうと、僕は君のことを可能性ごとすべて愛する。

著者:乙野四方字
装画:shimano

ストーリー
描写
キャラクター
感動度
独自性
電子書籍 有り
他のメディア展開 アニメ映画
広告

あらすじ

人々が少しだけ違う並行世界間で日常的に揺れ動いていることが実証された世界――

両親の離婚を経て母親と暮らす高崎暦(たかさき・こよみ)は、地元の進学校に入学した。

勉強一色の雰囲気と元からの不器用さで友人をつくれない暦だが、突然クラスメイトの瀧川和音(たきがわ・かずね)に声をかけられる。

彼女は85番目の世界から移動してきており、そこでの暦と和音は恋人同士だというのだが……

並行世界の自分は自分なのか?

僕が愛したすべての君へ | ジャンル,SF | ハヤカワ・オンライン (hayakawa-online.co.jp)

書評

この作品は『君を愛したひとりの僕へ』と表裏一体となっている作品です。
どちらから読むべきかについてはこちら

あらすじの通り、この世界では「虚質科学」という分野の研究が進展し、人間は無自覚に並行世界を移動していることが証明されています。しかし、並行世界と言っても何かが大きく異なるわけでもなく、例えば一つ隣の並行世界とは朝食が米だったかパンだったかくらいの違いしかないそうです。
物理学的に正しいかはともかく、設定としてはとても練られています。この設定、世界観がきちんと練られていることによって、この作品はとても面白くなっています。

そんな世界で主人公高崎暦はクラスメイトの瀧川和音から話しかけられます。自分は85番目の並行世界から来て、向こうの世界では自分たちは恋人同士であると。
こうして二人は出会い、恋に落ち、虚質科学の発展と共に人生を歩んでいきます。

この物語は、並行世界の存在が証明された世界での恋愛を描いたものです。 そして並行世界が存在すると分かってしまったからこそ生じる問題もあるわけで。そうした問題を二人で乗り越えながら歩んでいく。そうした幸せな物語です。

本作と表裏一体である『君を愛したひとりの僕へ』共々是非お読みください。

そして!
映画の公開に合わせ、新作『僕が君の名前を呼ぶから』が発売されました!
内容は長編スピンオフ!
また別の世界を生きた栞の物語が描かれます!

文庫本

電子書籍

関連作品

君を愛したひとりの僕へ』 はこちら

僕が君の名前を呼ぶから』はこちら。

The following two tabs change content below.
avatar-images
自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ二段。