どちらから読む?読む順番とその理由を徹底解説。『僕が愛したすべての君へ』、『君を愛したひとりの僕へ』。

2022年10月4日特集乙野四方字,shimano

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二つの作品の紹介

僕が愛したすべての君へ

人々が少しだけ違う並行世界間で日常的に揺れ動いていることが実証された世界――
両親の離婚を経て母親と暮らす高崎暦(たかさき・こよみ)は、地元の進学校に入学した。勉強一色の雰囲気と元からの不器用さで友人をつくれない暦だが、突然クラスメイトの瀧川和音(たきがわ・かずね)に声をかけられる。彼女は85番目の世界から移動してきており、そこでの暦と和音は恋人同士だというのだが……
並行世界の自分は自分なのか?

僕が愛したすべての君へ | ジャンル,SF | ハヤカワ・オンライン (hayakawa-online.co.jp)

君を愛したひとりの僕へ

人々が少しだけ違う並行世界間で日常的に揺れ動いていることが実証された世界――
両親の離婚を経て父親と暮らす日高暦(ひだか・こよみ)は、父の勤務する虚質科学研究所で佐藤栞(さとう・しおり)という少女に出会う。たがいにほのかな恋心を抱くふたりだったが、親同士の再婚話がすべてを一変させた。もう結ばれないと思い込んだ暦と栞は、兄妹にならない世界に跳ぼうとするが……
彼女がいない世界に意味はなかった。

君を愛したひとりの僕へ | 著訳者,ア行,オ,乙野 四方字 | ハヤカワ・オンライン (hayakawa-online.co.jp)

読む順番

私は断固として『僕が愛したすべての君へ』から読むべきだと考えます。
理由は『君を愛したひとりの僕へ』を先に読むと、『僕が愛したすべての君へ』を素直な気持ちで読めなくなってしまうからです。
あらすじをご覧のとおり、二つの作品は同一の主人公でありながらヒロインが違います。

私は、この二つの作品は恋愛小説だと思っているので、主人公はこのヒロインと結ばれることが幸福というふうに思った上で、思える上で読めた方が良いと思います。

僕が愛したすべての君へ』→ 『君を愛したひとりの僕へ』と読むことで、前者はヒロイン『瀧川和音』と、後者はヒロイン『佐藤栞』と結ばれることが幸せと思いながら読むことができます。

一方、 『君を愛したひとりの僕へ』→『僕が愛したすべての君へ』と読むと、暦が結ばれるべき相手は『佐藤栞』であって、『瀧川和音』ではないと思いながら読むことになると思います。
これでは恋愛小説の醍醐味が失われてしまう。私にはそう思えます。

故に私は、 『僕が愛したすべての君へ』から読むべきだと考えます。

プラス余談ではありますが、二つの作品の番号を見ると
僕が愛したすべての君へ』はJA1233、JA-オ-12-1
君を愛したひとりの僕へ』はJA1234、JA-オ-12-2
と『僕が愛したすべての君へ』が先に発行されたことがわかります(名目上は同時発行ですが)。
このことからも『僕が愛したすべての君へ』から読んだほうが順番としては正しいんじゃないのかなあと思います。

そして!
映画の公開に合わせ、新作『僕が君の名前を呼ぶから』が発売されました!
内容は長編スピンオフ!
また別の世界を生きた栞の物語が描かれます!

三作品の読む順番

これは断言してもいいです。というか断言します。

絶対に、『僕が君の名前を呼ぶから』が最後です。

この作品を読む前に『僕愛』、『君愛』を読んでいなければ意味がありません!

1.『僕が愛したすべての君へ
2.『君を愛したひとりの僕へ
3.『僕が君の名前を呼ぶから

要は、上の順番で読むことをおすすめしますが、3番目だけは絶対に動かすべきではありません。

文庫本

電子書籍

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自称システムエンジニアのくせに、農学系の地方国立大に通うおかしな生き物。 ひつぎ教育研究所社長。 好物は恋愛小説と生物学、哲学。BL以外はなんでも読む雑食。 一応、将棋のアマ二段。