主人公の死を描いた小説10選
人間はかならず死ぬ。
肉体は滅んでも霊魂は永遠であるとは言うが、それを実証した者はいない。
とどのつまり、人間が知ることのできる範囲において
「死」とは終わりを意味する。
自分が死ぬとわかった時、人間は何を思うのか。
恐怖。絶望。後悔。
一方で、「死」は次の世代の始まりも意味する。
死んだからこそ受け継がれていくものもある。
ここで紹介する小説は、どれも主人公の死を描いたものです。
定められた死。
死までの時間。
あるいは、自分の死によって始まった物語。
読後、あなたは何を思うでしょうか。
永久不滅の理である「死」を描いた作品。
どうぞお読み下さい。
蜩ノ記
豊後羽根(ぶんごうね)藩の檀野庄三郎(だんのしょうざぶろう)は不始末を犯し、家老により、切腹と引き替えに向山村(むかいやまむら)に幽閉中の元郡(こおり)奉行戸田秋谷(とだしゅうこく)の元へ遣(つか)わされる。秋谷は7年前、前藩主の側室との密通の廉(かど)で家譜編纂(へんさん)と10年後の切腹を命じられていた。編纂補助と監視、密通事件の真相探求が課された庄三郎。だが、秋谷の清廉(せいれん)さに触れるうち、無実を信じるようになり……。凛烈(りんれつ)たる覚悟と矜持(きょうじ)を描く感涙の時代小説!
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ここがおすすめ!
第146回直木賞受賞作。
藩史の編纂と十年後の切腹を命じられ幽閉された秋谷は、何を思い残された日々を生きるのか。
忠義とは何か、武士とは何か、武士が持つべき覚悟とは何か。
自分の命の期限が刻一刻と迫ってくる秋谷の描写はまさに傑作と呼ぶに相応しいです。
探偵はもう、死んでいる
高校三年生の俺・君塚君彦は、かつて名探偵の助手だった。
「探偵はもう、死んでいる。」 二語十[MF文庫J] – KADOKAWA
「君、私の助手になってよ」
――始まりは四年前、地上一万メートルの空の上。
ハイジャックされた飛行機の中で、俺は天使のような探偵・シエスタの助手に選ばれた。
それから――
「いい? 助手が蜂の巣にされている間に、私が敵の首を取る」
「おい名探偵、俺の死が前提のプランを立てるな」
俺たちは三年にもわたる目も眩むような冒険劇を繰り広げ――そして、死に別れた。
一人生き残った俺は、日常という名のぬるま湯に浸っている。
……それでいいのかって?
いいさ、誰に迷惑をかけるわけでもない。
だってそうだろ?
探偵はもう、死んでいる。
ここがおすすめ!
才色兼備、天衣無縫、十全十美。
彼女がそこに現れるだけで、花は咲き、鳥は歌い、事件はすでに終わっている。
スペイン語で昼寝を意味する名を持ち、白髪碧眼でマスケット銃を扱う名探偵の少女・シエスタに全ての読者が惹かれるだろう。
しかし、探偵はもう、死んでいる。
これは、探偵の死後、残された助手と探偵を巡る物語。
死から始まる物語。
僕と君の365日
(P[ゆ]1−1)僕と君の365日|ポプラ文庫ピュアフル|本を探す|ポプラ社 (poplar.co.jp)
――僕らの恋愛にはタイムリミットがある。
毎日を無難に過ごしていた僕、新藤蒼也は、進学クラスから自ら希望して落ちてきた美少女・立波緋奈と隣の席になる。
だが、その矢先「無彩病」――色彩が失われ、やがて死に至る病気になったことを知り、僕は自暴自棄になってしまう。
そんなとき緋奈は「あなたが死ぬまで彼女になってあげる」と約束してきて……。僕と君の契約のような365日間の恋が始まった。
ここがおすすめ!
「無彩病」、それは色彩が失われ、やがて死に至る病。
365日後に終わることが決まっている恋。
彼女は何故「あなたが死ぬまで彼女になってあげる」なんて言ってきたのか。
死が決定づけられているからこそ描けた、ただひらすらに涙する感動の恋愛小説です。
Re:ゼロから始める異世界生活
異世界に迷い込んだ普通の高校生、菜月昴が出会った美しい銀髪の少女。彼女の力になりたくて、そばにいることを望んだスバル。だが、彼女の背負う宿命は、スバルの想像を超えるものだった。次々と襲い掛かる敵。裏切り。理不尽な暴力。―――そして『死』。
ストーリー | Re:ゼロから始める異世界生活 (re-zero.com)
無力な少年が手にしたのは、死して時間を巻き戻す唯一の能力『死に戻り』。それは誰もが笑っていられる世界へと導く可能性―――スバルの命と孤独を糧として。
彼女が傷つくのは見たくない。そのためならどんな相手でも、どんな運命であろうとも、全部ねじ伏せる!
力を使えば過去は失われ、思い出すらも書き換えられる。忘れられた思い出を一人秘め、ボロボロに傷つき、心をすり減らし、命を賭して――
――それでもスバルは抗い続ける。
大切な人たちを守るために。
確かにあったはずのかけがえのない時間を、取り戻すために。
―――たとえ君が忘れていても、俺は君を忘れない。
ここがおすすめ!
主人公の死を起点としたループ・タイムリープを描いた作品であり、彼は何度も命を落とすことになります。
繰り返す死は決して軽くなく、襲い掛かる喪失感や絶望感がたまりません。
それに対して彼がどう抗っていくのか、是非見届けてください。
リライブ
死に逝くあなたの〈思い出〉をいただくために参上しました。代わりに、人生で失ったものを一つだけ取り戻すことができます。〈バク〉が誘うもう一つの人生とは――二人の学生から告白された下宿屋の娘・輝子。研修医の恋人に手料理を振る舞い、幸せを夢見た亜由。そして幼なじみの二人が親子になった真理恵と琴美……それぞれが迎える温かくもせつない「終焉」に息を呑む7つの物語。
『リライブ』 小路幸也
ここがおすすめ!
収録されるそれぞれの短編の主人公は1度死に、ある時点から再び亡くなるまでの人生を送ります。
一つだけ異なる選択をして人生をやり直せるなら何を望むのか。
そしてその結末まで素晴らしい7作を収録した短編集です。
litmus paper
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